本『ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記』小林 和彦 著 新潮社

巻末で精神科医の方も言っているように、内的に起きた幻覚や妄想をここまで正確(書かれていることも妄想かも知れないが)に振り返って記述したものは貴重だと思った。

まず感じたのは豊富な語彙力。著者の小林氏はかなり読書家で様々な思想に触れていることが伺える。逆にそれらの思想から刺激を受けすぎて、自分に真理を気付かせようと色んな物や事がメッセージ送っていると感じ取ってしまうんだなぁと、そのようになる過程がわかる気がした。また、そのような場合に受ける気分を高揚感や多幸状態と表しており(所謂ハイ状態)、普通の状態に戻ってからもそのハイ状態に戻りたいとも述べているのは興味深い。

このような精神病の人(統合失調症)は自殺願望がよくあるイメージだったが、本文に全くそのような記述は無く、「自分が世界を救うんだ=自分を救う=神」という前向きな思考ばかり目立っていた。しかし、文庫版書き下ろしを読んでそのイメージは間違っていなかったことを思い知らされた。2001年に入院した際、4回もの自殺未遂を企てたとの事である。彼によるとベッドから床に頭から落ちたり、呼吸を止めてベッドの脚を喉に押し付けるという苦行を自分に課しただけらしいが。

現在は同じような精神病患者と一緒にグループホームで生活しながら、病院のデイケアに通う日々だと言う。就労が目的では無いと言っているように、彼はこの生活に満足とまでは言えないけど、それなりに合っている生活なのかな。親友の望月氏が聞いた彼の言葉「自分の発症は、仕事の辛さから逃げていたのだろうか」という分析が心に残った。

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

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